サブスクリプション・サービスを広告代理店の目線から考察しました。

毎月決まった金額を支払いすると、好きなだけサービスを利用できるサブスクリプションサービス(定額課金サービス)。スマホの普及を背景に2010年ごろから音楽や動画の配信で広く利用されるようになり、アパレルや家電・家具など様々な分野に普及し人気を呼んでいます。一方で月額料金を支払っているのに使っていない「幽霊会員」は、ジムや音楽配信などで3~4割、多いところで7割とも言われています。

サブスクリプション・サービスの利用状況

近年存在感を増して来たサブスクリプションサービス。企業側からすると長期にわたり安定した売上を確立できるサービスとして成長分野と捉えるところも多いです。消費者は、頻度が高ければ高いほどレンタルや個別購入(課金)より安い料金でサービスを利用できるため一度契約をすると長期間継続する傾向にあります。ただ、現時点での市場規模からすると日本国内ではそんなに大きくないという調査結果もあります。

サービスの利用割合

株式会社ONE COMPATH『Shufoo!』 調べ
調査地域:全国/調査対象:「シュフーポイント」会員(全年齢層の既婚女性)/調査方法:インターネットリサーチ
サンプル数:合計有効回答サンプル数 6,252名/調査期間:2019年7月10日〜7月15日

出典:博報堂生活総合研究所
調査地域:全国/調査対象:15~69歳の男女/調査人数:10000人(国勢調査に基づき、性年代・エリアの人口構成比で割付)
調査手法:インターネット調査/調査期間:2019
年5月28日〜6月1日

※他のアンケート結果を割愛しています。

ワンコンパスが運営する『Shufoo!』の会員(主に30~50代の既婚女性)に向けた調査では「サブスクリプションサービス」を知っていると答えた方は13%だったそうです。改めてサブスクリプションサービスの内容説明を行なった上で、それらのサービスを利用していると答えた方は13.6%と1割強に留まっているようです。博報堂生活総合研究所の一万人への利用実態調査では2019年の段階で1.1%となっています。年代別に見ると10〜20代の利用が多く、今後の利用意向ではどの年代も増加しており今後ニーズが高まることが予測されます。

利用している種類と利用金額

出典:消費者庁ウェブサイト (https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/internet/pdf/caution_internet_200205_0002.pdf)

サービスの種類では動画配信が8割弱と圧倒的に多いことが伺えます。次いで音楽配信、電子書籍・コミックと続くことからスマホで完結するエンタメコンテンツの需要が高い傾向にあります。これらは利用単価も比較的手頃でどこにいても空いた時間で楽しめることが理由ではないでしょうか。それを裏付けるように、支払い金額も2000円以下が7割弱を占めています。

サブスクサービスを利用したきっかけ

「サブスクリプション・サービスの利用状況に関するアンケート結果」(消費者庁)(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/internet/pdf/caution_internet_200205_0002.pdf)を加工して作成

半数近くがサービス事業者のホームページがきっかけとなっています。ただ、このホームページに流入するためには何らかの前知識があってのことだと推測されます。例えば、有名な動画配信サービス会社はTVCMやYouTube動画広告などでよく見かけますし、携帯キャリアが提携したアプリの利用促進をしていることも多いです。

これを踏まえると、赤線で示した「広告」以外にも何らかの告知・広告活動によってサービスを認識し利用申し込みをするケースが大半を占めることがわかります。

サブスクリプション・サービスの解約について

出典:消費者庁ウェブサイト (https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/internet/pdf/caution_internet_200205_0002.pdf)

解約の状況を確認する前に、サービスの申し込み時に確認した点をご紹介します。やはり価格や割引条件は気になりますよね。そして支払い方法も同様に関心が高いことが伺えます。有料コンテンツは、その支払いに見合ったサービスかどうかが重要視されるという結果です。
一方、同じ金銭的側面ですが解約に関する内容を見てみると「解約条件」を確認した方は26.9%、そして「解約方法」を確認した方は26.5%に留まっていることから、利用条件よりも関心が薄いという結果が出ています。

解約時に困った点

出典:消費者庁ウェブサイト (https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/internet/pdf/caution_internet_200205_0002.pdf)

とある新聞記事で見かけたのですが国民生活センターによると、動画配信サービスに関する相談件数はサブスクを中心に10年で10倍近くに増加しているそうです。上のアンケート結果からもそのことが伺えます。しかし、解約時に特に困ったことはないという結果が39.7%ということから、解約時のトラブルの全てが運営側という訳ではなく利用者側の問題もあるのではないでしょうか。

とは言え、これだけ多くの問題点が浮き彫りになっている状態で運営側が何も対策を講じない訳にはいきません。ある動画配信サービスでは、登録画面に解約ボタンを設置し、クリック一つで解約でき完了メールも届くそうです。他にも、冒頭でふれた幽霊会員(課金を継続している休眠利用者)向けに「支払いを続けますか?退会しますか?」という確認メールを送り始めた運営会社もあるようです。

広告代理店としての視点

これまでの解説では<運営側>と<利用者>間の問題と捉えがちです。しかし<広告取り扱い会社>も当事者意識を持ってこの問題を解決するために動いていかなければならないと考えます。中程で利用したきっかけについてふれましたが、その多くは何らかの広告からの流入であるという結果でした。私たちは普段、広告主から依頼され、いかにサービスの契約に繋げるかを考えてデザイン面や配信計画を立てるのですが、サブスクの広告に関わらず、誇大表現をしないなどは常に意識して取り扱っています。ただ、契約後についての考察はより深くしていかなくてはならないと感じました。

<運営側>と<利用者>を繋げる位置にいる私たちは、これからも双方の視点を持って広告を取り扱っていきたいですね。

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