広告レポートってむずかしい|運用型広告の報告会をうまく進めるには?(その1)

運用型広告の報告会では、通常一定期間運用した結果をレポートにまとめ、情報共有が行われます。

レポートに掲載されているのは、報告会よりも『過去』のデータに過ぎませんが、しっかり読むことで、クライアント様のビジネスを成長させる『未来へのロードマップ』となる価値ある内容を含んでいます。

では、実際にはレポートをどう読み解けばよいのでしょうか?目の前のレポートを、どう活用し、どのような報告会を行えば良いのでしょうか?

今回は運用型広告のレポート・報告会について考えてみました。
少し長くなりそうなので、ひとまず「その1(準備編)」ということで、お読みください。

 

広告レポートには何が書かれているのか?

レポートには、何が書かれているのでしょうか?

広告レポートの「形式」は様々なものがあり、含まれる内容・項目も様々ですが、大きく分けて以下の内容が・様々な切り口で掲載されています。

ネット広告独特の英語・略語表記が使われているため、慣れないうちは分かりにくいかも知れませんが、主な項目をあげてみます。
本ブログの別の記事でも同様の内容がありますので、そちらも合わせてお読みください。

Webプロモーションで覚えておいた方がよい単語 | Digital Solution Media
https://www.urban-project.jp/blog/promotion/620/

 

広告の『表示状況』に関する指標

広告が何回表示されたのか?に関する情報です。
媒体やキャンペーン構成により、表示回数を表す『インプレッション(IMP)』や表示された人数を表す『リーチ』などの指標が用いられます。

 

広告の『クリック』に関する指標

表示された広告を見た人が、広告をどれくらいクリックしたのか?です。
広告をクリックしてランディングページへ遷移する構成の場合、広告のクリック数(CTs)は、実質広告からランディングページへの遷移数であり、大切な指標です。また、前述の表示回数に対してどれくらいクリックされているのかの比率を表す『クリック率(CTR:クリック数÷表示回数×100)』もよく利用されます。

 

広告の『結果・成果』に関する指標

広告をクリックした先のランディングページ・Webサイトで発生した資料請求や問合せ、ECサイトの商品・サービスの購入など、得られた結果が『コンバージョン(CV、CVs)』です。
当然ですが、広告だけでなく遷移先のランディングページの構成などにも大きく影響を受ける数値です。クリック数に対する割合『コンバージョン率(CVR:コンバージョン数÷クリック数×100)』と合わせて覚えておきましょう。

 

広告の『費用』に関する指標

広告出稿に関する費用は『COST』などと記載されます。
前述の各指標と関連付けて、1クリックあたりの単価である『クリック単価(CPC:費用÷クリック数)』や1コンバージョンあたりの単価『コンバージョン単価(CPA:費用÷コンバージョン数)』、表示あたりの課金方式の場合に用いられる『インプレッション単価(CPM:1,000回表示あたりの費用:費用÷広告表示回数×1,000)などがあります。

 

区切ることの意味

区切ることで比較・判断が可能になります。

レポートでは、これらの各指標が、様々な『軸』『区分』で区切って掲載されています。
『全体』ではなく、時間軸や、ユーザーの属性、キャンペーン内容などでデータを区切ることで、時間軸による推移の確認や区分ごとの比較ができるようになります。日ごとの推移レポートや、キャンペーン内容などで区切ったレポートなどが代表例でしょう。

 

レポートでは何を伝えるのか?

良かったの?悪かったの?

結局、良かったの?それとも?は最も知りたい情報です。

報告会で、クライアント様から最もよく聞くのは、『結局今回のキャンペーンは、良かったの?それとも?』という声ではないでしょうか?
いくら詳しいレポートを作っても、『結局どうだったのか?』が伝わらないのでは、意味がありません。

そもそもクライアント様がキャンペーンをはじめようと思うきっかけも、『結局、効果あるの?』でしょうから、やはり『良かったのか?それとも?』は、最も大切な・伝えるべき情報でしょう。

 

判断には『基準』が必要・何がどうなったら『良い』のか?を決めよう

『厚み』ですか?『味』ですか?

もう少し細かく考えてみましょう。

『良かった』とは、何を基準に・何と比較した判断でしょうか?
同様に『効果』とは、具体的にどのような状態を指しているのでしょうか?

広告・キャンペーンを始める前に、クライアント様と『目指す方向』を共有し、『何がどうなったら良いといえるのか』という判断のための基準をしっかり決めておかないと、写真のように『厚み』は満足できても『味』が満足できない…という笑えない状況に陥ってしまいます。レポートの時点・報告会の時点で違いに気づくのでは、遅いのです。

 

広告担当者は何をしている?

運用型広告では、担当者が日々広告の設定を確認・調整しています(なので『運用型』と呼ばれています)。
『AI化』『自動化』が進み、運用自体のテマは以前より減ったとはいえ、そもそも何を正解とするのか?という『目指す方向』を決めるのは人間であり、広告運用担当者は『正しい方向へ進むための調整』を行っているに過ぎません。

 

タクシーの運転手さんには行き先をはっきり伝えます。よね?

タクシーの運転手が行き先を知りたい(知らないと困る)のと同じように、運用担当者も『目的』『目標』を知りたいと思っています。
『とりあえず この道をまっすぐに』ではなく『〇〇駅へ』と分かれば、混まずに・早く・安く・安全に到達できる道を選び、ルートをイメージし、お客様への確認・修正もでき、安心してスタートできます。(先ほどの例で言えば、味なのか?厚みなのか?味の中でも、パンの味が大事なのか?どれかの具材なのか?…といったイメージです)

 

・・・とはいえクライアント様自身も具体的な目的・目標が設定できていないこともあります。
抽象的なイメージしかできておらず、言語化されていない場合は、共有も難しいかも知れません。事前に『明確な』ゴールが決まっているのではなく、まずやってみてから(様子を見て)考えたいという声があるのも確かです。

それでも『行きたい方向』が北なのか・南なのか?〇〇町方面なのか・△△市なのか?大まかな情報を知っているかどうかは大きく違います。

例えば、内科医がはじめて訪れた患者さんに問診するように。
『症状はいつから?』『咳がひどい?熱を下げたい?』『どこが痛い?』『喉は赤い?』など詳しく確認するように、状況・困っている点を詳しく聞くことで、目的・目標を具体的に浮かび上がらせることができますので、シミュレーション・提案・商談の精度も違ってくるのではないでしょうか。

 

『判断』することは『比較』することから

判断は比較することから

では、実際のレポートの『見方』『判断の仕方』について、簡単にご紹介しましょう。
『良い』『悪い』の判断は、以下の二つの『比較』が基本となっていると考えられます。

1.軸や区分同士の『比較』
2.全体と部分の『比較』

 

順に説明します。

 

軸や区分同士の『比較』

各数値を、訴求対象や訴求メッセージごとに分類し、比較します。
キャンペーンごとに既に分けられている場合はそのまま比較することで、それぞれの状況が把握できます。

IMP(広告表示数)やCTs(クリック数)などの『数値』だけではなく、クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)などの『比率』を比較することで、『量』だけではなく『比率(≒質・内容・傾向)』も比較することが可能になります。

また、必要に応じて『日別×エリア別』『キャンペーン別×ユーザー年齢別』など、区分・軸を組み合わせることで、より詳しい分析が可能になりますが、もととなるデータ数が少なくなりすぎると、結果の精度が低くなりますので注意が必要です。時系列のデータも『日別』ではなく『3日ごと』『1週間ごと』など集計期間を変え『移動平均』を使うことで、より大きな流れをつかむこともできます。

 

全体と部分の『比較』

『全体(あるいは平均)』と『部分』を比較することで、全体に対する『全体に対するインパクト』を把握することができます。全体への比率が大きい部分を改善することは、そのまま全体の改善につながるケースが多いともいえるので、万が一良くない場合は、さらに詳しく・深掘りし、原因をつかむことが必要となります。

 

同じ方向を向くことが必須

同じ方向を向くことが大切です

結局『良いレポート』『良い報告会』のためには、まずクライアント様・代理店の両社(両者)が、クライアント様の目的・目標を十分理解し、達成するためにベクトルを合わせること・同じ方向を向くことが必要です。

広告・プロモーションは、あくまで手段です。
そして、お預かりした広告予算は、(当然ですが)クライアント様が、クライアント様の目指すゴールへ進むために使うべきものです。代理店には『売上』と計上されても、あくまで『クライアント様のお金を代理で使わせていただいている』ことは忘れてはいけません。

同じ方向を向くこと。
事前に目的・目標を明確にすることが、広告・プロモーションという手段をうまく使うために必要なステップであり、目的・目標を知るためには、事前に様々なコミュニケーションが必要となります。まずはクライアント様のビジネスの仕組みを知り、これまでどう進んできたのか?これからどう進もうとしているのか?を知ることです。

報告会・レポートは、事前に目的・目標を共有ておくことで、次の一歩を決める大切なツールにすることができます。

 

私たちアーバンプロジェクトは、クライアント様のビジネスのための広告・プロモーションを目指し、『最適』をご提案できるよう心掛ける総合広告代理店です。
まずはお気軽にご相談ください。

 

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